天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

鮮血が舞い、驚くアルテミアの間合いを一瞬にして詰め、首筋に剣先を差し込んだ。

「いかがかな?」

カイオウは、アルテミアの目の前で笑うと、またもとの場所へ戻った。

アルテミアは、指先で首筋を確かめ、口元を緩めた。


「あなた様は、強くなられた。しかし!」

カイオウは、今度は突きの構えをとる。

「あなた様は…ティアナ様を切れない!それが、脱け殻であっても」

「負けるとわかっていて、あなた様を、城に行かす訳には、いかぬ」

カイオウは摺り足で、じわじわと近づいてくる。


「相変わらず…お節介なやつだ…」

アルテミアは、カイオウを見た。

幼い頃、アルテミアの世話をしてくれたのは、カイオウだった。

ティアナに剣の教えてを請っている姿も、うっすらと覚えていた。

「魔王のそばに、ティアナ様がいる限り!あなた様は、勝てない」

摺り足から、また一気に間合いを詰めるカイオウに、アルテミアは笑いかけた。

「まったく…やれやれだ」

アルテミアは、普通に歩きだす。

交差する二人。

アルテミアの横を一瞬にして、通り過ぎたカイオウの手から、剣が落ちた。

そして、跪き……ティアナにつけられたとは逆の同じところに、傷ができ……鮮血が吹き出した。

「てめえ如きが、あたしに指図するな」

アルテミアの手には、ドラゴンキラーが装着されていた。

「なっ!」

カイオウは目を見張り…片膝を地面につけた。

「ま、まさか…これ程だとは……」

カイオウは、涙を流した。

そして、号泣する。

「これ程の強さ!だからこそ、行ってはなりませぬ」

カイオウは体を反転させ、アルテミアの方を向くと、頭を下げた。

「ティアナ様を殺したのは、人間かもしれません。しかし、ティアナ様の体は、限界だった!もう肉体は、ボロボロで、生きているのが、奇跡のような状態でした」

「フン!だから、殺されても仕方がないと言うのか!」

「違います!今いらっしゃるティアナは、魂のない脱け殻…しかし、我ら魔物を導く光として、蘇って頂いた!今、あなた様と、ティアナ様が戦えば…」