ディスク上のマウスを動かし、クリックすると、

行き止まりの通路の壁が開き、巨大な実験室が姿を現した。

目を見張るジェシカに、西園寺は近づき、

「これを持って、中に入って貰いたい」

あるものを差し出した。


それは、ブラックカード。


「これは…」

ジェシカは、見たこともない黒いカードを見つめた。

自分が持っているカードと同じだが、色が違う。それに、ポイント残高を示す表示もない。

カードは、さらに黒いケースに差し込まれていた。

「このケースからは、取り出さないように」

マリアの注意に、ジェシカは頷いた。

「これを持ったら、中に入って頂戴」

「はい」

ジェシカは中に入ろうとしたが、入口が見当たらない。

入口を探すジェシカに、西園寺が言った。

「このカードを使って、テレポートして下さい」



「はい!」

ジェシカは、ブラックカードを発動させた。


一瞬にして、実験室内に、ジェシカは立つ。

「OKね…。カードケースを右手の腕につけて」 

実験室に響くマリアの声に、ジェシカは右手にカードケースをそえると、

カードケースからベルトのようなものが飛び出し、右腕に絡み付いた。

「!?」

驚くジェシカに、更にマリアの命令が飛ぶ。

「カードに、コード番号を打ち込んで!」

「コード番号?」

「コード番号は、666よ」

マリアは言いながら、にやりと笑った。


ジェシカは、言われた通り番号を打ち込むと、


ジェシカの全身を、黒い霧が包んだ。

「きゃー!」

ジェシカの絶叫が響く中、黒い霧は、固まっていく。


「第一段階は、成功ね。結界の皮膚化」

マリアは、また煙草を取り出した。

「ブラックカードの危険性。魔獣因子を持つ者だけに現れる…カードの解放状態。それは、圧倒的な魔力を発動できるが…人の理性を壊す可能性がある」

「だからこそ…人間の体を守る結界をつくり…ブラックカードの干渉を抑える」

西園寺は、実験室のジェシカを見つめた。

「魔王と戦う為には、巨大な魔力を持つ人が必要だ」