体が、崩れそうだ。

自分を形成している肉体が、結合をやめ…今にもブロックのように崩れて、バラバラになりそうだ。

しかし、歩かなければならない。

二本の剣と、ティフィンを背負いながら、僕は岩場を抜け、できるだけ魔物の気配がない場所を探していた。

ここの土地感はない。

魔物を、感知する能力もない。

目をこらし、僕は人の村を探した。

村にいく訳でないが、人が住んでいる場所の近くなら…強い魔物はいないはずだ。

人が、危険な場所に村を作るはずがない。

岩場を抜けると、広がる草原の向こうに、狩りをする人の群を目視できたが、


草原が広い。

少なくとも二キロはある。

隠れるところがない。

仕方なく、周りをキョロキョロすると、岩場の角に小さな茂みがあった。

いや、茂みというより、何かを無理やり隠しているような…草木の生え方が、おかしかった。

僕は、クラークの心臓が突き刺さっているライトニングソードを構え…心臓をツバ近くまで、差し込みと、

切っ先を突き出し、そのまま茂みに向かって、突進した。

簡単に茂みを抜け、中に入ると、そこは岩場を刳り貫いた空洞があった。

ちょうど、人1人入れるぐらいの空洞。

「うおおお!」

僕の叫びが、空洞にこだまし、

それに呼応するかのように、

「キエエエエ!」

奇声を発しながら、奥から巨大な口が飛び出してくる。

広げた口の大きなは、ちょうど空洞と同じだ。

「唸れ!ライトニングソード!」

ライトニングソードの切っ先から、雷鳴が轟き、

僕はそのまま、巨大な口の中に、剣を突き刺さした。

巨大な口の奥…喉からさらに奥へ、雷鳴は放たれ…

巨大な口が、焼き付くのに時間はいらなかった。

すぐに、中から丸焼きになり、口は動きを止めた。

どうやら、ここは巨大なミミズもどきの巣のようで……茂みに隠れ、岩場から出て来た者を、襲っていたみたいだ。

僕は、ミミズの焼ける嫌な臭いに、顔をしかめると、さらに電撃を強め…完全な灰になるまで、焼き切った。