天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「失望したよ。せめて、この刀で殺してやろう!」

男の持つ刀が、ぼんやりと輝いていた。

「泣いているのか…」

男は、僕ではなく刀に話しかけていた。

「フッ…愛する男を殺すのだからな」

男は笑い、悲しげに光る刀を振り上げた。


「愛する男……?」

言葉の意味がわからず、困惑する僕の頭上に、刀は振り下ろされる。

「チッ」 

男は、舌打ちした。

「チェンジ・ザ・ハート!どこまで邪魔する気だ!先輩!」

刀は、割って入って来たチェンジ・ザ・ハートによって、弾かれた。

チェンジ・ザ・ハートは、ライトニングソードに変わると、僕の目の前の地面に突き刺さった。

「くそ!」

ライトニングソードを地面から、引っこ抜くと、僕は立ち上がりながら、剣を下から上へ凪ぎ払った。

それを男は、刀で受けとめる。

「うおおおっ!」

腕だけでなく、起き上がる力もプラスし、ライトニングソードを押し上げる。

男の持つ刀が、震える。

「次元刀が…切れないだと!さすがは、ライトニングソード!」

男も両手をそえ、力を加える。

「うおおおっ!」

再び押し返そうとした時、男は笑った。

「赤星浩一!私が持つ…この次元刀を、折りたければ、折ればいい!だけどな!」

交差する剣の向こうで、男は、顔を近付けてくる。

にやりと笑い、

「この剣を折れば…死ぬことになるぞ!」

「何の話だ!」

僕は、剣を押す。男の次元刀が、少し削れていく。

(痛い!)

その瞬間、誰かの意識が、僕の頭に響いた。

「馬鹿な…」

僕は、その声を知っていた。

愕然とした僕の腹を、男は蹴った。

先ほどの傷に当たり、僕は苦痛とともに離れた。


「ハハハハハハ!信じられないという顔だな!そうだ!この剣は、沢村明菜!お前の探していた女だ!」

男の言葉に、目を見開き、僕は叫んだ。

「あり得ない!明菜が、刀になるなんて…」

「お前がいた世界と比べるな!ここは、魔力の世界だ」

男は、ブラックカードを取出し、僕に示した。