天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「え?」

呼ばれたので、ティフィンの方を見ようとした僕は、

なぜか違和感を感じ、その場から後方にジャンプした。

すぐに、僕がいた場所を、光線が何かが、切り裂いた。

地面の抉れ具合から見て、大した威力ではないが…なぜか、のびていた僕の前髪の先が、切れた。

「何だ?今のは」

タイミングと距離からみて、切られるはずはない。

(離れていた…切ったのは地面?)

頭を捻りながら、地面に着地する瞬間、右から微かな風の流れを、肌で感じ、

僕はライトニングソードを、風を感じた方向に、差し出した。

剣と剣とが、ぶつかる甲高い音がした。

「さすがだな…。どちらも、不意をついたはずなんだが…」

「誰だ?」

力任せに、剣を押し返そうとするのだけど、今の僕より、相手は力が凄い。

押し返すのをやめると、今度は持つ手を変え、突き刺そうとした。

「!?」

だけど、僕は剣を止めた。

僕に切り掛かってきたのは、人間の男だったからだ。

「フッ」

男は軽く笑うと、指を手刀のような形にし、下から上に切り上げた。

その瞬間、地面に光を走り、

僕の腰から肩にかけて、傷が走った。


「バンパイアは…影がないはずだが?それに…」

男は、まじまじと僕を見て、

「魔力を、まったく感じない…」


痛みから、思わず肩膝をついた僕に慌てて、ティフィンが飛んできて、手当をする。

暖かい光が、傷をふさいでいく。

傷は、内臓までも達していないが、結構切れていた。

「影…?あんた何者だ!」

僕は、ライトニングソードの切っ先を男に向けながら、考えていた。

(影…………そうか!影を切ったのか!)

そうと解れば、接近戦は不利だ。


(あの手刀が、届く範囲が、切れる間と見た)

僕は治療を受けながら、じりじりと後退した。


男は目を細め、

「妖精とともにいるのか…」