天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

僕はもう一度、拳を握り締め、

(力に負けない!心の強さを!心の力を!)

僕は、ゆっくりと起き上がった。


(心を鍛えないと)

そして、痛みに耐えながら、全身を確認し、

「手足が動けば、何とかなる!」

僕は、ティフィンに微笑みかけ、指輪のついた右手を突き出した。

「絶対に、フレアを助けなくちゃ」

助けたいという思いが、ほんの少し…僕を強くしてくれる気がした。



次の日、目覚めた時、

僕の体は、痛みもなく動くようになっていた。

寝ずに看病してくれたティフィンは、僕の上で、手をかざしながら、寝ていた。

僕は起き上がると、枯草をティフィンの体にそっとかけてやった。

外に出ようでしたが、全裸だった。

寒い。

この世界に久々に、寒さなど感じた。

ふと、枕元を見ると、服が折り畳んで置いてあった。

僕の服ではない。

広げてみると、黒のTシャツと、迷彩柄のズボンだった。

「メロメロ…」

それは、メロメロが残した荷物だった。

僕らの生活を支えていたのは、メロメロだった。衣服や食料の調達…すべての面倒を見てくれていた。

服は、ティフィンが置いてくれたのだろう。

洞穴の奥に、メロメロの革の鞄があり…僕は中を覗いた。

水の入ったボトルや、薬草…干し肉などの保存食が入っていた。


「メロメロ…」

僕は、また涙が溢れてきた。

ティフィンによく、足手まといと言われていたメロメロだけど…やはり、彼がみんなを支えていたのだ。



だけど、ずっと泣いてる場合ではない。

服を引っ掴むと、僕は着た。

メロメロのだから、少し小さいだろうと思っていたけど…ぴったりだった。

まるで、僕に用意してくれていたみたいに。

いや、多分そうだろう。

服で身を包み、洞穴から出た僕は、

先日の戦いで、まだ熱が覚めない炎の香りと、

それとは、逆の早朝の朝の日差しに、目を細めた。