天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

コアが粉々になる刹那、不動は手を伸ばし、ライトニングソード華烈火を掴んだ。

「何をする気だ!」

突き刺しながら、落下する僕に、不動は笑った。

「お前も、道連れだ」


「何?」

「兄貴!後ろ!」

メロメロが叫びながら、フレアとともに、僕に向かってくる。

「え?」

振り返った僕の後ろに、巨大な闇が立っていた。

いや、それは…全身を覆い隠すマントに、包まれた男だった。

「お初に、お目にかかる」

黒いマントが翻り、その中から、人差し指が、ライトニングソート華烈火を掴む僕の右手…の薬指を触れた。

薬指には、指輪があった。

「まずは、力を封じよう」

「なっ!」

いきなり、全身の力が抜け、ライトニングソード華烈火を掴むことができなくなった。

僕の手から、ライトニングソード華烈火が零れ落ちた。

「ははははっ!」

その先に突き刺さったコアが、粉砕し…不動はライトニングソード華烈火とともに下に落ちながら、ただの炎に戻っていった。

「兄貴!」

僕は、空中に立つ男に、首を絞められ、落下は止められていた。

「フン!」

男は、気合いとともに、僕をほり投げた。


マグマの湖を飛び越え、その向こうに広がる草原に着地し、そのまま地面を抉りながら、数十メートル転がった。

砂煙が立ち上ぼり、衝撃の強さを物語った。

「兄貴…」

思わずフレアの腕の中で、身を乗り出したメロメロだが……そばから感じた視線に、身を震わせた。

「ああああ…」

声にならない声を上げ、視線の主を確かめたメロメロは、青ざめた顔を強ばらせた。

そんなメロメロに構うことなく、フレアはメロメロを抱いたまま、僕のもとへ飛んでいく。

一キロは飛ばされた僕のもとへ、フレア達が駆け付けた時には、僕の前に男は立っていた。

地面にめり込みながらも、何とか意識を保っている僕を見て、男は感心したように言った。

「ほお…力を封印したのに、まだ生きているのか…全身打撲?……そうか、この鎧が守ったか」

男は、僕の体を確認し、

「しかし!もう終わりだ」

にやりと笑うと、僕の全身を包んでいた鎧が、砕け散った。