天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「たかが、女一人が大切だと!」

驚いたように、目を丸くする赤き瞳の僕に、僕は微笑んだ。

「確かに、むちゃくちゃにしたいという衝動は、あるさ。だけど…大切にしたいという気持ちも、大きいんだ」

赤き瞳の僕は、せせら笑った。

「お前は、馬鹿か?」



「ああ」

僕は頷き、赤き瞳の僕の首に手をかけた。

「何をする!」

「お前も、僕だ。僕自身だ!欲望も衝動も…僕の望みの一つだ」

僕は、強く首を閉めた。

「魔王になれるのに…。綺麗事で、誤魔化すつもりか…」

赤き瞳の僕の表情が、苦しくなる。

「綺麗事かもしれない…。だけど、それもすべて含めて…僕は、人間なんだ!」

赤き瞳の僕が、消えていく。

「天使でも…悪魔にでもなれる…。いや、どちらも持っているのが、人間なんだ!」

僕の手の中で、僕が消えていく。

「邪魔するな!単なる欲望が!」

僕は、拳を握り、感覚を確かめた。


「こんなところで、死ねるか!」

夢から、無理矢理目覚めるように、もう一度瞳を見開くと、

視界は真っ赤であった。

「兄貴!」

不動の攻撃を避けながら、マグマの向こうに見えるフレアとメロメロ。

メロメロの手には、ライトニングソードがあった。

僕は叫んだ。



「モード・チェンジ!」