天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

神流は、クラークを睨み付け、

「あたしはただ、圧倒的な力で、みんなを殺したいだけ!こっちの方が…」

神流は、隣に立つ騎士団長達を見、

「殺せる」

口元を緩めると、神流はブラックカードを取り出すと…それを、額に付けた。

「この力も!あんたは、教えなかった!あああ!」

クラークを睨みながら、神流は歓喜の嗚咽を上げた。

額に張りついたブラックカードの表面が、脈打ち…そこから血管のようなものが、全身に走った。

その神流の変化に、思わず口を覆う舞子。


「アシュラ・モード」

クラークは、呟いた。


魔力を永遠に使える…それが、ブラックカードの特典である。

魔力を永遠に使える……それは、どういう意味か。

それを突き詰めると…人は…人と言えるのか。

魔力を永遠に使える存在。

それは、魔である。

人は、魔になれる。

昔から言われている…人は、怨念や負の感情から、鬼になる。鬼とは…。

「気持ちいい」

豹のようなしなやかな肢体に、鋭い爪。全身を覆う硬い甲羅のような皮膚。

六本の尻尾は、激しくのた打ち回る。

快感が、神流の全身を覆った。

「これもまた…人…」

クラークは呟いた。

人が死んだ後に、墜ちると言われる…修羅道。

死ぬまで、死んでも戦い続ける…阿修羅。

「こんな気持ちいい力!あんたは、隠していた!」

神流の叫びに、クラークは視線を落とし、自分の手を見た。

「修羅道に墜ちた者は…もう戻れない」