天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「僕は、行かなければならない!バンパイアキラーを探す為に!」

僕は、回転しながら、ライトニングソードを一閃させた。

剣撃の波動が、円状に広がり、あらゆる魔法を無効化した。

「バンパイアキラーだと!」

放った空気弾が、かき消され、唇を噛み締めた老婆の目の前で、

再び翼を広げた僕は、ティフィンとフレアを抱き締めると、一気にその場から、飛び去った。

「赤星…」

猛スピードで、村を飛び越え、崖の向こうでオロオロしているメロメロを引っ掴むと、そのまま…天高くへと飛び上がっていった。


ティフィンは、赤星の腕の中で、思い詰めたような表情をした赤星を見つめた。

そのことに気付かずに、僕は別のことを考えていた。

(アルテミア)

そう…今の僕は、アルテミアと会っても…戦うことしかできない。


昔、アルテミアがぼそっと話してくれた。

王位が変わる時、先代の魔王を倒すのに必要なのが…バンパイアキラー。

「バンパイアキラーがあれば…ライに勝てる…」

アルテミアは、拳を握り締めた。


(だから…僕にも必要なのだ。魔王やアルテミアと倒す為ではなく…アルテミアを救う為)

アルテミアを止まる為には、力が必要だった。

圧倒的な力が。

(同レベルでは、ダメなんだ)

僕の全身に力が入り、炎の翼が大きく羽ばたいた。



「女神とは…天災だ」

そう語ってくれたのは、ロバートだった。

「魔王が神なら、女神は天災…決して、人間の力では防げないもの」

それは、火山の噴火や地震…洪水や津波…落雷や竜巻…台風。

太古の時代から、人を苦しめていた災害。

それこそが、3人の女神の力であり…………今は…

アルテミア1人の力であった。


(それを止めるには…必要だ!その為には…)

先代の魔王に、会わなければならなかった。

この大陸に、追放された…バンパイアに。

(彼なら知っているはずだ!バンパイアキラーの正体を)

なぜなら…彼はバンパイアキラーによって、王の座を追われたはずだから…。