天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

高角度から落ちた僕の体は、本堂の焼け跡から……地面を抉りながら、更に、村の民家に激突し、数棟を突き破って、村の大通りに転がり出た。

村人や、家畜の鶏が驚いて、逃げ惑う。

何とか、止まった時には、僕の体を包む鎧は、消えていた。


「赤星…」

何とかティフィンを両手を包むことで、彼女には怪我はないようだ。

背中から、地面を抉っていた僕は、起き上がろうとしたが、体が動かなかった。

今の攻撃のダメージからではない。

「さっきので…すべて使い切った…」

腹の虫が鳴った。

理由は、空腹だ。

仏像を一気に焼き切った炎で、魔力を消費してしまった。カードも使えない今、体力を回復することはできない。

アルティメット・モードも解けてしまった。

「赤星…」

ティフィンが、僕の腕の中から這い出ると、心配そうに顔を覗いた。

「ティフィン…退いてろ…次の攻撃が来る…」

空中から、老婆が両手を、倒れている僕に向けていた。

そして、落ち着いた村人達が、僕の様子を見て、近づいていく。

(ダメだ…力が湧かない…)

拳を握ることもできない。

「てめえら!近づいていたら、ぶっ殺す!」

ティフィンが周りに、凄んでみても、誰も怯まない。


「終わりだよ。赤の勇者。さっさと、この地から立ち退いておけば」

老婆は、クククッと笑った。

「赤星…」

ティフィンは、僕の顔の横に立った。震えている。

「…さっきの飯…食っとけばよかった…」

僕は、ティフィンに笑いかけると、

「お前は…逃げろ…こいつらの狙いは…俺だ…」

ティフィンは、きりっと僕を横顔で睨むと、

「黙ってろ!ばか星」

「ティフィン…」