天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「何が起きたメロ!」

村の奥から、砂ぼこりが立ち上ぼり、建物の崩れる音がした。

メロメロが戸惑ってる間に、フレアはもう崖を渡っていた。

いきなり、横に現れたフレアに、村人達は驚き、杖を持った者は、魔法を発動させることもできなかった。

剣を構えていた者達は、いきなり剣が溶けて、目を丸くした。


フレアは、炎の魔物である。

常に無表情なその顔に、今は明らかな怒りを感じることが、できた。

村人達の全身に、汗がとめどもなく流れ出すと、村人は剣や杖を捨て、フレアから距離をおいた。

フレアの周りの温度が異様に、高くなっていた。

村人の抵抗がなくなったのを、確認すると、

フレアは、村の奥に向かって駆け出した。



「あのお…」

その様子を、崖の向こうから眺めていたメロメロは、頭をかいた。

「置いてきぼり…なんだけど…」

メロメロは、空を飛べなかった。

「姉さん…置いてかないで!」

メロメロの切実な願いは、届かなかった。