整えられた芝生の上を、老婆は歩いていく。
神社の入り口まで、五メートルくらいある。
僕は少し深呼吸をすると、十字架の門をくぐった。
その瞬間、辺りは一面の花を包まれた。
「向日葵?」
僕の目の前にあった神社が消え、どこまで続くかわからない向日葵の世界が、広がっていた。
唖然としていると、突風が吹いて、僕の髪を靡かせた。
黄色の世界に、白い帽子が舞っていた。
どこから、飛ばされてきたのか。
風に乗って、黄色の海の上をふわりと漂っている。
それを追いかけて、どこからか、女の子が駈けてきた。向日葵を掻き分けて、ただ空に舞う帽子だけを見つめ、追いかける。
女の子は、僕の目の前を通り過ぎた。
五歳くらいか…。ブロンドの髪を靡かせて、一生懸命に走っていく。
風がもう一度、強く吹いた時、さらに舞い上がった帽子を取るため、女の子はジャンプした。
その瞬間、女の子の背中に翼が生え…空高く舞い上がる。
僕は目を見開いた。
きらきらて輝く白い翼を広げ、女の子は帽子を掴んだ。
「お母様!」
空中で、満面の笑みを浮かべ、女の子が手を振る方向を、僕は見た。
少し離れた所で、向日葵の中佇む女の人。
白いワンピースに、日傘を差し…優しげな笑顔を女の子に、向けている。
「これは…」
僕が絶句した時、
僕は、十字架の門をくぐっていた。
神社の入り口まで、五メートルくらいある。
僕は少し深呼吸をすると、十字架の門をくぐった。
その瞬間、辺りは一面の花を包まれた。
「向日葵?」
僕の目の前にあった神社が消え、どこまで続くかわからない向日葵の世界が、広がっていた。
唖然としていると、突風が吹いて、僕の髪を靡かせた。
黄色の世界に、白い帽子が舞っていた。
どこから、飛ばされてきたのか。
風に乗って、黄色の海の上をふわりと漂っている。
それを追いかけて、どこからか、女の子が駈けてきた。向日葵を掻き分けて、ただ空に舞う帽子だけを見つめ、追いかける。
女の子は、僕の目の前を通り過ぎた。
五歳くらいか…。ブロンドの髪を靡かせて、一生懸命に走っていく。
風がもう一度、強く吹いた時、さらに舞い上がった帽子を取るため、女の子はジャンプした。
その瞬間、女の子の背中に翼が生え…空高く舞い上がる。
僕は目を見開いた。
きらきらて輝く白い翼を広げ、女の子は帽子を掴んだ。
「お母様!」
空中で、満面の笑みを浮かべ、女の子が手を振る方向を、僕は見た。
少し離れた所で、向日葵の中佇む女の人。
白いワンピースに、日傘を差し…優しげな笑顔を女の子に、向けている。
「これは…」
僕が絶句した時、
僕は、十字架の門をくぐっていた。


