天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「くそ!吸われる前に、斬る」

次元刀を握り締め、吸う風の中、クラークは体勢を整えようとした。

もう少しで、口というところで、風は止んだ。

「え?」

驚いた神流達。クラークも、唖然とした。

そして、それらよりも、一番驚いていたのは、アマテラスだった。

アマテラスの体が、球状の結界に包まれていた。

「ミックスウェイブ…」

アマテラスの後ろ…基地の周りに張った結界にもたれながら、1人の男が腕を組んで立っていた。

色の濃いサングラスをしている為、誰かわからない。


結界中で、巨大な口はあり得ない形で歪み、球の中で風を吸い込み…やがて、自分自身をも吸い込んでいく。

すると、直径2メートルはあった球が、だんだんと小さくなっていき…やがて、ビー玉くらいになり…目に見えなくなり消えた。

「時空流し…。自らの闇と無限の時空間の中を彷徨え…」

そう言うと、男は結界から離れ、クラークに向かって歩きだした。

クラークは、その歩き方…男の気を感じ、

「まさか…」

その男の正体がわかった。

雰囲気は変わっていたが、個人個人の気の波動は、指紋のように変わることはない。

近づいて来る男の顔の輪郭が、判断できた。

「なぜ、お前が…」

男は、仰々しく頭を下げた。

「ロバート・ハイツ!」

クラークは苦々しく、ロバートを睨んだ。