天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「アルテミアにやられた痕だな?まあ、頭をかち割られても、まだ生きている生命力には、感心するが」

クラークは、右手を振るった。

フラッシュバックような光りが、アマテラスの足元から、首筋まで走った。

「影切りか…。しかし、影のないあたしには、通用しないわ」

アマテラスは右手を突き出した。光の束が、クラークを直撃した。

「クラーク様!」

舞子の顔に、この世界に来てから…はじめての表情が浮かぶ。

「心配するな」

クラークも右手を突き出し、結界を張っていた。

結界に弾かれて、光の束はアマテラスに返っていく。

「くっ」

アマテラスの腹の口が開き、光の束は、吸収された。

クラークの張っていた結界に、ヒビがはいり…砕け散った。


クラークは、心の中で安堵の息をつきながらも、表面では冷静を装っていた。

「やはり…あんたの魔力は、格段に落ちている。アルテミアと戦う前のあんたなら、結界ごと私を、消し去ったはずだ」

クラークは、右手を突き出した。

「モード・チェンジか!」

アマテラスの言葉に、クラークはにやりと笑った。

「馬鹿目!命を縮める気か!それに、かわったところで、あたしを傷つけるすべはないわ!」

アマテラスはせせら笑うと、両手を巨大な鎌に変えた。

松永と正志、そして神流は、アマテラスの放つ魔力に、動けない。震えている。

前に出ようとする西園寺と舞子を、クラークは制し、

「見ておけ!」

「そうさ!ガキども!見ておくがいい!こやつの死ぬところをな!」

アマテラスは、一瞬に間合いを詰め、両鎌を交差させた。

クラークの横…西園寺と舞子の間を通り過ぎた。

「な」

西園寺には、アマテラスの動きがまったく見えなかった。

そして、それよりもクラークの動きが…。

「ぎゃあああああ!」

西園寺の後ろから、アマテラスの絶叫が聞こえた。