世界中を旅するジプシー。

LikeLoveYouは、現代のジプシーだった。

音楽だけで、旅する旅人達。
「ようこそ、啓介」

東欧のある国。

「久々だな。マルコ」

啓介は、迎えにきたマルコと、握手した。

「腹は、減ってないか?」

マルコの言葉に、

「いきなりかよ」

啓介は笑い、

「妻が…お前達が、来るというから、張り切ってさ」

「妻?」

啓介は驚いた。

「ああ。まだ、籍はいれてないんだが…」

向こうの雑居ビルから、声がした。

「マルコ!」

嬉しそうな声。

笑顔で、走ってくる人物。

「啓介は、知ってるな」

駆けてきた女の背中に、手を回し、マルコは笑った。

「一応、紹介するよ。妻のティアだ」

ティアは、満面の笑みで、

「お久しぶりです。啓介さん」

「ティ、ティア〜!」

啓介は、目を丸くし、2人を交互に見、

「い、いつのまに…」

マルコとティアは、顔を見合わし、笑い合う。

「何というかな…」

頭をかくマルコ。

ヒョイと、啓介の後ろから、顔を出した明日香が、

ティアの顔と、お腹を見た。

ティアとマルコに、微笑みかけると、啓介を肘で、小突いた。

「鈍感」