「おばさん!お久しぶりです」

僕が明菜の家に着くと、

ちょうど玄関から、医師が出てくるところだった。

「原因はわかりませんが…このまま、昏睡状態が続くようでしたら…入院されて、詳しく調べませんと…何ともお答えできません」

丁寧に頭を下げる医師に、明菜の母親も、頭を下げた。

「おばさん」

医師を見送った後、家の中に戻ろうとする母親を、呼び止めた。

「こうちゃん…」

振り返った母親は、驚きの表情をし、

「学校は、どうしたの?」

「明菜ちゃんは!」

母親の表情が一瞬にして、曇る。

僕はその様子を見て、これ以上何もきけず、

ただ頭を下げると…その場から走り去った。

僕のせいだ。

僕が指輪を渡したから…。

取り返すべきだった。

僕は走りながら、

後悔から泣いていた。

(必ず、助けるから)

僕は、全力で家まで走った。