「ここは…」

意識の戻った僕は、またベットの中にいた。

「気づいた?」

僕を上から、覗きながら、紅は微笑んだ。

「あたしの家よ。心配しないで」

「みんなは…」

「2人は隣の部屋で、休んでいるわ」

「2人…?」

紅は視線を少し、僕から外し、

「女神だけは…まだ。でも、彼女なら大丈夫よ」

紅は僕の前に、コーヒーの入ったカップを置いた。

「ありがとうございます」

僕は、カップを手に取ると、一口啜った。

「どうして…あなたは、強いのに…いつも迷うのかしら?」

紅は、僕の顔を覗き込みながら、首を傾げた。

僕と同じ日本人だと思うけど…ハーフのように、顔の掘りが深い。

それに、身に付けてる赤のワンピースが、たまらなく似合っていた。

質問の意味もわからず、ただ僕は、しどろもどろになる。

「あっ…そのお」

「女神は強いけど…弱いわ」

紅は、僕の目を見つめ、

「あなたは、強いわ。意志を強く持って」

言葉の意味はわからなかったが、僕は紅の瞳の中を見つめながら、意味を探した。

突然、

法螺貝の響きが、家を震わし、地響きが世界を震わした。

「来たわ」

紅は、慌てて部屋を出ようとする。

「待って下さい!」

僕は、紅を止めた。

紅は、足を止めた。

僕は唾を呑み込むと、

「あの時…あなたが歌った曲は…」