遠退いていくヘリを尻目に、アルテミアは蘭丸と対峙する。

崩れ欠けていた広間は、歌が終わるとともに、自然に修復されていく。

「逃げなくていいのか?女神」

蘭丸は、アルテミアに言った。

「逃げるってのは、性に合わない」

アルテミアは、チェンジ・ザ・ハートを槍タイプに変える。

脇に挟み、いつでも女神の一撃を撃てる体勢を取る。

「それは、この世界では通用しないと…分かったはずだが」

蘭丸は、一歩足を前に出した。

逆に、アルテミアは一歩下がる。

「お前は、分かってるはずだ」

蘭丸は、プレッシャーをかけながら、ゆっくりと間合いを詰める。

「今の自分を」

アルテミアがいた場所に、微かに砂が落ちていた。

「今の自分の弱さを」

「あたしは、弱くない!」

叫んだアルテミアの髪から、砂が落ちていく。

「そうだ…。だから、私達とともに」

蘭丸は、アルテミアに手を差し伸べた。

アルテミアは絶句しし、

「な…あたしは…あんたに、確かめたい事があるだけなんだ!」

アルテミアの動揺した姿に、

ヘリを見送っていた信長が、横目で見て、口元を緩めた。

「ヴァンパイア・キラーのことか?」

蘭丸は、笑いかけた。