電流が、蘭丸に伝わった瞬間、

蘭丸は、槍を掴んだ右手から、左手の平をアルテミアの腹に押しつけた。

電気の塊が、火の玉のようになり、アルテミアの腹にヒットすると、思わず槍を離したアルテミアは吹っ飛び、

そのまま、床の間に掛けてある水墨画の掛け軸に、激突した。

「魔力返しか」

アルテミアは、電気の塊を体に吸収すると、床の間に立った。

掛け軸は、燃え上がった。

「さすが…だな…。もと元老院最高の魔術士」

アルテミアは、にゃりと笑った。

「元老院は、なくなったけどね」

蘭丸は、槍をアルテミアに投げ返した。

しかし、アルテミアは、それを受け取らず、

「モード・チェンジ」

アルテミアは、黒革のボンテージ姿になり、髪が短髪になる。

ストロング・モード…格闘専用のタイプに変わる。

「うりゃあ!」

気合いとともに、アルテミアは回し蹴りを放ったが、蘭丸は左手で受け流すと、

そのまま、アルテミアの懐に入り、首筋に掌底を叩き込んだ。

体勢を崩されたが、アルテミアはそのまま倒れながら、

蘭丸の右腕に絡み付き、折ろうとするが…アルテミアの腕の中から、蘭丸が消える。

「瞬間移動」

支えの腕がなくなり、一回転し、畳に着地したアルテミアは、振り返りざま、後ろに肘を突き出した。

蘭丸に当たったと、確信した瞬間、

それは、蘭丸の残像だった。