「フン」

大佐は、机の左上の引出を開け、アクセスコードの書いた紙を指で摘み、

ロバートに差し出した。

「報酬だ。女神に、渡しておけ」

「ありがとうございます」

紙を受け取り、深々と頭を下げると、

ロバートは、指令室を出た。

廊下に出ると、早速カードに、コードを打ち込み、

ポイントを貰う。

百ポイントしかない。

「やはり…女神を差別してるか…防衛軍は」

ポイントの少なさに、唖然としていると、

「ロバートじゃないか」

廊下の向こうから、近づいてくる1人の男。

「ケン…?ケンじゃないか」

ケンは、、ロバートの肩を叩き、

「久し振りだな。いろいろ噂はきいてるぞ」

ロバートは苦笑し、

「大したことじゃないよ」

「防衛軍を、やめたことかが!折角、出世が決まっていたのに」

残念そうなケンに、

「出世より、大切なものはある」

ケンは、ロバートの左手にある指輪に気付いた。

「そうだな…」

ケンは頷き、また肩を叩いた。

「それより、時間あるか?ちょっと、向こうのカフェで話そうぜ」

「そうだな」

ケンに促され、ロバートは歩きだした。

「ケン…お前が、ここにいるなんて思わなかったよ」

ケンは大げさに、声を出して笑い、

「左遷だよ。まあ、でも気に入っている。飯はうまいからな」

「…変わらないな」

ロバートは、微笑んだ。


二人で並んで歩いていると、突然、ロバートの足元から、頭の天辺まで、電気が走った。

「な?」

何かの言葉が、頭の中から聴こえた。

(いや、言葉じゃない…歌声だ )

とても綺麗な歌声が、ロバートの脳に直接響いていた。