暗闇の中から、現れたクラークの前に、待ち伏せていたかのように、ジャスティンがいた。

「ただいま」

予想していたのか、クラークは驚くことはなく、ジャスティンに微笑みかけた。

ジャスティンは対照的に、冷ややかな視線を送りながら、口を開いた。

「何をしに行った?」

ジャスティンの質問に、もうとぼける必要はない。

クラークは、五枚のブラックカードを、ジャスティンに見せた。

「殺したのか?」

「ああ」

クラークは、ジャスティンの目を真っすぐに見た。

予想してたことだが、ジャスティンは、言葉を続けることができなかった。

顔を伏せるジャスティンに、クラークは、何かを投げつけた。

「な」

驚き、慌てて取ろうとしたジャスティンの手の上で、それは五つに分離し、ジャスティンの体を追い越すと、

格納庫の奥へと、消えていった。

「あれは、まさか…」

振り返り、五つの物体を見送ったジャスティンに向かって、クラークは言った。

「そう…あれは、安定者の心臓だ!」

呆然とするジャスティン。

「どうして…」

「ここ数年、まともな心臓が、手に入らなかったはずだ。これでは、カードシステムの運営が成り立たない」

振り返ったまま動かないジャスティンに、近づき、耳元で囁いた。

「安定者の心臓なら、数十年は保つだろう」

「どうして…」

ジャスティンの全身が、小刻みに震えていた。

「俺だって、カードシステムを守りたいと思っている」

クラークの言葉に、ジャスティンは振り返り、ブラックカードを取り出した。攻撃体勢をとり、叫んだ。

「だったら、なぜ!俺を殺さない!」

ジャスティンのあまりの形相に、クラークは肩をすくめてから、ジャスティンを見つめ、こたえた。

「殺す必要がないからだ」

「何?」

ジャスティンの手に、剣が召喚され、突き出した瞬間、

クラークは笑った。

「もうすぐ、アルテミアが来る」