砂漠の町で、僕はご飯を食べていた。カウンターに、テーブル席が、五つ…まあまあな広さだ。

店内に、装飾らしきものはなく、奥に地下への脱出口があった。

人面鳥に襲われ続けていたこの町には、必要なものらしい。

僕は、一番入り口のテーブルに座り、その前にダラスがいた。魔物が来た場合を考えて、ダラスはいつも入り口近くに座るらしい。

水だけと思っていたら、お腹がすいているのがわかり、何か食べることにしたけど、先程まで魔物との戦いがあった為、店は大したものを置いてなかった。

保存食の干し肉が、なかなか噛み切れず、皿の上で格闘している僕を、ダラスは不思議そうに見つめていた。

僕は視線を感じ、手を止めて、ダラスを見た。視線が合う。

ダラスは結構な高齢だ。体は、がっしりしているが…まだ剣を取って、戦っていることが信じられなかった。

「少年…。君が、天空の女神と融合していた…という話は、信じよう。しかし…これから、君はどこにいく気だ?」

僕は、これまでの話を、かいつまんで話した。

ダラスは、まだ僕の話を完全に信じていなかったが…一応は警戒しながらも、僕の目をじっと見ながら、聞いていた。

僕は、ナイフとホークを皿に置くと、きちんと身を正し、

「格納庫へ…行きます」

「格納庫?」

「はい」

僕は頷き、胸ポケットから、カードを取り出し、ダラスに示した。

「このカードの格納庫です」

「カードシステムの格納庫か?…しかし、それがどこにあるのか…公表されていないはずだが…」

ダラスは、自分のカードを取り出した。カードは二枚あった。一枚は、もう使い過ぎてボロボロになっていた。

僕はカードをしまうと、

「一度、行ったことがありますから…何とか座標はわかります」

「一度、行ったことがある?…。君はそこに、何の用があるんだ。あそこは、人類が生きていく為の要の場所だ」

ダラスは、訝しげに僕を見た。