天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

「それで、あたしは提案してやったのよ!強い精神力をもつ人間を人柱にして、永遠に楽ができると」

突然、アルテミアの手を離すと、アマテラスは、顎を蹴り上げた。

「クッ」

アルテミアは、顎を上げると、何とか蹴りを避け、アマテラスから距離を取った。

「そして、安定者達は、元老院のメンバーを殺し…ティアナも殺したのよ」

「馬鹿な!お母様が、人間ごときに、そう簡単にやられるわけがない」

「そうね…でも」

アマテラスはにやけながら、アルテミアを指差した。

「あんたのその鎧や、ライトニングソードは、何だ?もともと、ティアナのものだ!ティアナは、お前の為に力の殆どを、封印したのさ。いずれ訪れる娘の運命の為にね」

アルテミアは、自分の体を包む黄金の鎧を見た。

「お母様…」

アルテミアは目をつぶった。

「力を封印した…あの日、ティアナは、味方のはずの安定者に、裏切られ…殺されたのさ!」

アルテミアの瞳から、涙が流れた。

「後ろから、剣でぐさりとね」

アマテラスは、大笑いした。

「間抜けだね~ 」

「心臓を抜かれ、驚きながら、倒れるあいつの表情が、忘れられないね」

笑いが止まらないアマテラスを、アルテミアは睨んだ。

「もういい…もうわかった」

「心臓が抜かれても、死のうとしないあいつを、消滅させてやろうとしたら…」

アマテラスは、拳を握り締めた。

「魔王が、現れ…死ぬ前に、コールドスリープをかけた。そんなに…そんなに、あいつが大切なのか!だから、あたしは、安定者の1人となり、影から、あいつが守りたがってた人の世界を、支配してやったのよ」

アルテミアの周りを、七人のアマテラスが囲んだ。