「それはね」

上官は鼻で笑い、臭い息を僕に吐きかけながら、

「先日の戦いにおいて、我が軍を全滅させたのが、天空の女神…アルテミアだからだよ」



「そんな馬鹿な!ありえない!そんな事実!どこにもない」

言いがかりを言われて、少し間をあけて切れる僕に、上官は腰に付けていた鞭で、僕の頬を殴った。

「お前の意見など、どうでもいいんだ。我々に、指輪さえ渡したら、用はない」

頬が切れ、血を流しながらも、僕は視線を上官から、外さない。

「何だ!その反抗的な目は!お前など、撃ち殺して、指輪を取ってもいいんだぞ」

えらそうな言い方に、めったに怒らない僕も、怒りがおさまらない。

これが、権力か。

「何だ!この反抗的な態度は!こ、殺せ!どうせ、こいつは、この世界の人間ではない」

軍人達は、上官の命令に従い、躊躇いもなく、引き金を引こうとする。

その時、軍人達の持つカードが、けたたましく警告を鳴らした。

「何事だ」

上官は、胸ポケットから、カードを取り出した。

カードは赤く輝き、レッドサインを警告する。

「神クラスが近くにいるだと!馬鹿な有り得ない」

上官や軍人達は、僕より周りを確認する。

しかし、狭い病室には、僕ら以外誰もいない。