雷雲から雷が…大気から竜巻が…発生し、両腕のチェンジ・ザ・ハートに、それぞれ吸い込まれていく。

血よりも赤く輝くチェンジ・ザ・ハートを、アルテミアはマリーとネーナに、向けた。

「雷(ライ)」

「有り得ない…」

ネーナは絶句した。

「空(クウ)」

「お父様の技…」

マリーは下唇を噛み締める。

アルテミアのきゅっと引き締めた唇の端に、鋭い牙が覗かれた。瞳が更に、赤くなる。


「ネーナ!いくわよ」

マリーの叫びに、ネーナは我に返り、上空に構えた。

「A Blow Of Goddess!」

2人の女神の一撃が放たれた。水と炎のダブル攻撃。

アルテミアは不敵に笑い、

叫んだ。

「牙(ガ)」



雷空牙。

かつて封印された…魔王より受け継ぎし、空の牙。

いや、この星を一つの生物と考えたら、その星がもつ一番鋭い牙が、この技だった。

星そのものの攻撃。

「駄目か」

冷静に状況を判断したマリーは、ネーナの後ろに回った。

雷撃というより、大空と大気そのものの攻撃を思わす…巨大な竜巻が、雷鳴にコーティングされ…正しく牙だ。

女神の一撃は、その螺旋状に動き、ドリルのような牙の動きに巻き込まれ、吸収されていく。

マリーは咄嗟に、針のように細い氷の剣を作り出すと、後ろからネーナの心臓めがけて、突き刺した。