「お母様!」

はっと我に返ったアルテミアは、自分がピアスの中にいることに気付いた。

「何があった!」



「うぉぉぉっ!」

雄叫びを上げて、僕は立ち上がると、両手に炎のマシンガンを創り出し、マリーとネーナに向けて、連射する。

しかし、マリーに当たる前に、炎の玉は凍りつき、ネーナには吸収された。

何のダメージも与えられない。

絶句する僕に、2人は近付く。

「何の冗談かしら?」

マリーの機嫌は、すこぶる悪くなった。



「やめろ!赤星!この世界で、死んだら、お前は元の世界に戻れないんだぞ!」

叫ぶアルテミアの声は、赤星には聞こえない。

「赤星!」


「無駄です。あなたは、戦いの最中、パニックになり、意識を失ったのです。あなたの心は負け…今、ここにいるあなたは、最後の心の欠片なのです」

「あたしの心が…負けた?」

アルテミアは、闇の中で自分の姿を認知しながら、振り返った。

遠くに、誰かが立っている。顔はわからない。

「あなたは、完全に敗北し…あの少年も、もう直ぐ死にます」

口調で、話し掛けているのが、女であることは理解できた。

女の淡々とした話し方に、アルテミアは切れた。

「何だと!」

アルテミアの怒りに、女は首を捻った。

「少年を巻き込んだのは、あなたです。何を今更…」