マグマがまるで、絨毯のように敷きつめれた山道を、スキップしながら歩いていく女。

遥か雲の上にある火口からは、止めどもなく…マグマが流れていた。

噴火である。

火の粉が辺りに飛び散り、木々は燃え、鳥や獣達は逃げ惑っていた。

晴天の空に、真っ黒な爆煙が狼煙のように上がっていた。

その灼熱の煙の中から、

炎を纏った魔物が飛び出してくる。

鼻歌混じりで歩く女から少し離れて、2人の魔神が続く。

屈強な3メートルはある体躯を揺らしながら、炎そのものの体に漆黒の鎧をつけ…まるで、その鎧によって、姿を保っているような感じを受けるーー炎の騎士団長、不動。

もう一人は、女である。

腰まである髪の毛先が、燃えているくらいしか、特徴がない。

一重瞼に切れ長の瞳、薄い眉。

その姿は普通の人間の女にしか見れない。魔神の中でも、一番弱そうであるが…。

薄い紫のワンピースを着た華奢な体に、触れるものはすべて燃え尽きるーー炎の騎士団長、リンネ。


その2人を従える者こそ、火の女神ーーネーナである。

メイド姿で、猫耳をつけた風貌で、マグマの上を歩く姿は、あまりにも異様である。

マグマの流れにそって、森林の中を歩く無数の魔物達。

炎の騎士団の進軍だった。