「ところで…部長。これは、何なんですか?」

絵里の問いに、美奈子は肩をすくめ、

「持ち物チェックだよ。ほら、本田先生の事件が、あっただろ?あの事件のせいで、学校に危険物を、持ち込ませないようにしてるのさ」

「本田先生の事件って?」

明菜は絵里から離れると、首を捻った。

「お前は、その間…学校休んでたものな」

美奈子は、説明しだした。

臨時教師だった本田淳が、ナイフと自家製爆弾を使って、学校中で暴れまわったのだ。

「えー!」

明菜は、驚きの声を上げた。

「つい、一週間前の話だよ」

「みんな、大丈夫だったんですか?」

「何人か、怪我人は出たけど…まあ、みんな、大丈夫だ」

「如月先輩も、怪我したんですよね」

絵里が、話に入ってきた。

「えー!き、きさ、如月先輩が!」

明菜は、軽いパニックになる。

演劇部員の憧れである、如月里緒菜。

美しい才女だ。

「心配するな。里緒菜は、怪我してないよ。里緒菜の友達が刺されたけど、もう退院しているよ」

美奈子の言葉に、明菜は胸を撫で下ろした。



「しかし…あの事件は、生徒が起こしたんじゃなくて、先生ですよね」

絵里は列の前で、中身を調べられてる生徒を見た。