「ぎぎぎ…」

機械が軋む音がして、ガンスロンは月を見上げた。

両手を月に向かって、上げた。

「何をしているの!?」

リオがガンスロンに叫んだ。

「早くなさい!あなたの一撃で、世界を変えるのよ!」

リオの言葉に、ガンスロンは顔を下げた。

そして、両腕も下げると、肩についていた二本の砲台がゆっくりと動きだし、その先を街中に向けた。



「プラチナボンバー!」

哲也の拳が、九鬼の顔面にヒットした。

掴んでいた髪の毛が引きちぎられ、九鬼の体はこうを描いて宙に舞うと、頭から地面に激突した。

「始まるぞ!神を超える一撃が!人の手で放たれるのだ」

哲也は笑った。

ガンスロンの二本の砲台の内、一本が輝き、さらに先端にムーンエナジーが集束されていく。

「さあ!放て!我々人間の新しい力を!」

哲也が興奮している隙に、何とか立ち上がった九鬼は、彼の背中に回り、後ろから羽交い締めにした。

「何のつもりだ」

哲也は振り向き、九鬼の顔を見た。

眼鏡がひしゃげ、片方のレンズが割れ、もう片方もひび割れていた。

九鬼は全身で息をしながら、

「確かにパワーでも、スピードでも、あなたには勝てないかもしれない」

「だったら、大人しく、始まりの一撃を見ておけ!その後すぐに、楽にしてやるからな!」

乙女プラチナの体がまた光り、九鬼を弾き飛ばそうとする。

その瞬間、九鬼は自ら飛び…さらに体を捻った。


「何!?」

哲也は目を見張った。

吹っ飛んだのは、自分だったからだ。

いや、吹っ飛んだというより、投げられたのだ。


「だけど!あたしには、長年の戦いの経験がくれた技がある」

九鬼は、乙女プラチナの光も利用して、投げ技を仕掛けたのだ。

突然、宙に舞った自分自身が信じられなかった哲也に、隙ができた。

「いくぞ!」

九鬼は地面を蹴ると、ジャンプした。

体を捻り、鞭のようにしなった足が空中で、哲也を蹴った。