「たかが…家畜から生まれただけで!」

「知るかよ!」

愕然とするデティーテェに、アルテミアは襲いかかる。

地面を蹴り、一気に飛び込んでくるアルテミアの攻撃を、デティーテェはかわした。

「だとしても、本気の乙女ダークの神速はとらえられるものか」

さっきまでとは比べものにならないデティーテェの動きを、アルテミアは見ることができない。


「モード・チェンジ」

しかし、アルテミアは動じることはなかった。

黒のスーツ姿になったアルテミアの姿も、消えた。


「ぎゃああ!」


誰もいないように見える空間から、叫ぶ声がした。

フラッシュモードになったアルテミアの蹴りが、デティーテェに炸裂していた。

地面を普通の速さで、転がるデティーテェ。

「神速だったか?」

小馬鹿にいたようなアルテミアの言葉に、デティーテェは立ち上がりながら、睨み付けた。


「おのれえ〜!アルテミア」

デティーテェは両手を広げると、足を開けた。


「乙女ダークの真髄を見せてやる!」

デティーテェの右足が、輝き出した。

「女神の一撃をくらえ!」

足に力を込めると、デティーテェはジャンプした。


「月影キック!」

九鬼が優に決めた月影キックとは、比べものにならないほどのムーンエナジーを集束した足が、アルテミアに向かってくる。


「確かに…女神の一撃に近いな」

アルテミアは一瞬で、蹴りの威力を悟った。

よければ、後ろの町が吹き飛ぶだろう。

アルテミアはにやりと笑った。

「死ね!」

それは…デティーテェからジャンプしたから、ほんの数秒だった。

アルテミアは右足を、正拳突きのように、真っ直ぐに突き上げた。

互いの足の裏が重なった瞬間、アルテミアは軸足で地面を蹴り上げた。

「何!!」

今度は重なっている右足を軸足にして、アルテミアは腰の捻りを加えながら、浴びせ蹴りのような攻撃を、叩き込んだ。


「ぎゃあ!」

おもいもよらないアルテミアの攻撃に、空中で撃墜されたデティーテェに、もう力は残っていなかった。