「これは!?」

九鬼は、自分とホワイトを囲む者達を見回した。

見た感じは人であるが…中身が違う。

「闇か…」

闇の粒子に、侵された者達。

構える九鬼とホワイトの間に、1人の女が姿を見せた。


「闇ではあるが…我々は、少し違う」

腰まである黒髪を靡かせ、九鬼を見た女は笑った。

体のラインを妙に強調する真っ赤なドレスが、夜でありながら際立っていた。

「我々はかつて、この世界を支配していた…魔王レイ様の眷族!」

女は九鬼に微笑むと、ホワイトの方に顔を向けた。

「忌々しきライの娘よ!貴様如きに、我々の計画を邪魔される訳にはいかない」


「ライの娘?」

ホワイトの眉が跳ね上がる。

そして、女を睨むと、

「その言い方が、一番むかつくんだよ!」

ホワイトが叫んだ瞬間、全身から溢れた魔力が、周りにいる者達を直撃した。


「うぎゃあ!」

その瞬間、周りを囲んでいた闇の者達の中で、レベルが低い者は消し飛んだ。


「く」

九鬼は、数メートル地面を削りながら、押し戻された。

「な、なんという…魔力!?」

女は両手をクロスさせて、ホワイトの気を受け止めた。

叫びだけで、痺れる腕を見て、女は笑い、

「流石は、ブロンドの悪魔…アルテミア!」


ホワイトを見つめた。



「あ、アルテミアだと!?」

九鬼は驚愕した。

この世界に来た…最初の目的は、アルテミアを倒すことだった。

「あいつが…綾子を殺した…アルテミア」

知り合いであった赤星綾子を殺した女神。


「あたしを…その名で読んだな…」

ホワイトは、白い眼鏡を外した。

その瞬間、長いブロンドの髪をたたえた…絶世の美女が現れた。


「!?」

九鬼は、その美しさに目を奪われた。


「遊びは、終わりだ」

アルテミアは、拳を鳴らし、

「ここにいる者は、すべて…皆殺しだ」

青い瞳で、周囲を睨むと、ゆっくりと歩き出した。