乙女ホワイトが、鮮血で真っ赤に染まった腕を一振りすると、すぐに真っ白な純白の姿に戻った。

透き通った真珠のようなボディは、乙女ブラックとは対照的だった。

何とか攻撃をしかけようとするが、九鬼の体は動かなかった。

「少しは、理解できているようね」

乙女ホワイトは、そんな九鬼を見て笑い、

「レベルの差を」

腕を突きだした。

その手には、グリーンの乙女ケースが。

「手加減して、相手してあげる」

乙女ホワイトの色が変わる。

「乙女グリーン!?」

驚く九鬼の背中に、激痛が走った。

「何!?」

いつのまにか放たれた光の輪が、背中を切り裂いていた。

「馬鹿な!」

今度は、頭上から一気に落ちてくる光の輪を、九鬼は紙一重でかわした。

「速い!」

明らかに、優の時より速い。

(どうする!)

このまま逃げていても、仕方がない。

攻めるには、前に出るしかない。

(それに!)

九鬼は、倒れている優を見た。

早く治療しなければならない。


「ならば!」

九鬼は唇を噛み締めると、スピードを加速した。

乙女ブラックの特色である神速が、光の輪を避けると、一気に乙女ホワイトへと近づく。

半転し、回し蹴りをホワイトの首筋に叩き込もうとした九鬼の目に、

妖しく微笑むホワイトの顔があった。


「え」

蹴りを放つ体勢のままの九鬼の左肩から、腰までに線が走り…そこから鮮血した。

「お、乙女…ブルー」

巨大な青竜刀を振りおろした乙女ブルーになったホワイトがいた。

そして、背中に光の輪が突き刺さると、

九鬼の変身は解けた。


「こんなものか…」

落胆のため息をつくホワイト。

「まだだ!」

変身が解けた為、転げ落ちようとする黒の乙女ケースを空中でキャッチすると、よろけながらも…叫んだ。

「装着!」

再び、乙女ブラックになった時、

九鬼とホワイトの周りを黒い影が囲んだ。