「さあ〜!」

タキシードの男は、後ろにある扉を示し、

「我々に救いを!そして、あなたの祖国、アステカ王国の再建の為に!」


「…」

カルマは、タキシードの男が指差す扉を見つめながら、

ゆっくりと立ち上がった。

「アステカ王国…」

ベッドから降りると、カルマは乙女ケースを取り出した。


跪く者達が後退り、扉への道を開けると、

カルマは歩き出した。



「装着」

ピンクの光がカルマを包み、

乙女ピンクへと変身した。


そして、

「フン!」

一気に道を駆け抜けると、カルマは扉を蹴り開けた。




そのまま、部屋から消えたカルマを見送っていたタキシードの男は、

鼻で笑った。


「これで、よろしいのですか?」

跪いていた者の中にいた赤毛の女が立ち上がり、

タキシードの男にきいた。

「九鬼様は、傷付いております。今、戦えば…」

「フッ」

タキシードの男は軽く笑うと、意見した女を冷ややかに見つめ、

「構わんよ」

カルマが消えた方に目をやり、

「どうなろうが、導く結果は、変わらない。それに」

今度は女を睨むと、

「敗北、絶望こそが、闇を生む!わかるか?」

にやりと口元を緩めた。


「…は!」

女は慌てて、また跪いた。


タキシードの男は、カルマが歩いた道を歩くと、

「お前達は、闇の貢ぎものだということを忘れるな。それが、運命だと」



「は!」

部屋にいる全員が、さらに頭を下げた。




「運命は、変わらない」


タキシードの脳裏に、九鬼の姿が浮かぶ。

足を引きずりながら、教会までたどり着いたようだ。

「どんなに、あがこうがね」

タキシードの男は、破壊された扉の向こうに広がる闇に頭を下げた。