「…ここは?」

意識を取り戻したカルマは、質素を簡易ベッドの上にいた。


その周りで跪く者達。

「!?」

カルマは、その者達から異様なる雰囲気をかぎとり、ベッドの上で身構えた。


しかし、跪く者達は微動にしない。



「驚くことはありませんよ」

「!?」

後ろから声がして、カルマは驚いた。

右手を突きだしながら、振り返ると、

タキシードの男が立っていた。

タキシードの男は頭を下げると、

「彼らは、あなたに救いを求めているだけですから」

ゆっくりと頭を上げ、カルマに向かって、微笑んだ。

「救いだと?」

カルマはタキシードの男の反対側に降りると、ベッドを挟んで対峙した。

いつでもサイコキネッシスを放てるようにして。

そんな警戒するカルマに、微笑みを絶やさずに、タキシードの男は見つめていた。


「救いとは何だ!なぜ…あたしはここにいる!」

カルマには、状況がわからない。まずはそれの確認をしなければならない。


「ここは教会です。あなたに、救いを求める者の集う場所。救いとは、あなた自身」

「どうして、ここに連れて来た!」

「月影でなければ、彼らを救えないからです」


「…」

「乙女ブラックとの戦いで、あなたを庇い…ここに連れて来たのは、あなたこそが、ここにいる者を救えるからです」


タキシードの男も跪き、

「月こそが、闇を照らす唯一の光。月影の頂点に立ち、月の女神の力を得ることができるのは、あなたをおいて、他にはいません」

そこまで言うと、タキシードの男は床に額がつく程に、深々と頭を下げ、

「我々に、光を!闇に侵されし、我々に浄化の光を!」



「我々に光を!浄化の光を!」

周りで跪く者達も、タキシードの男に呼応して、連呼し出した。

その迫力に、少し戸惑い始めたカルマに気付き、

タキシードの男は立ち上がると、

「もうすぐここに、乙女ブラックが来ます。しかし、彼女は変身できない。さらに、傷ついています。今なら、簡単に倒せます」