ジャスティンはその怒気を感じて、逆に気を少し緩めた。

天空の騎士団長であるサラとギラは、武人である。

どんな手を使ってでも、殺すという行為が普通のはずの魔物の中で、

卑怯なことはしない。

正々堂々と、真正面から戦う…そんな戦士だった。

多勢に無勢で戦うことはしても、その逆もない。

魔神の中でも、最高峰である自負が、

2人…特にサラには強かった。


ホワイトナイツ時代に、何度か戦ったが、

つねに1人だった。

こちらは、ジャスティンとクラークの2人がかりだとしても。


圧倒的な力と、戦士としての誇り。

決して…相いれない敵だとしても、

その精神は、ジャスティンも畏敬の念を持っていた。



戦闘態勢を解いたジャスティンに、ギラが笑った。

「それに…今、貴様を殺してしまったら、人間の中でまともに我らと戦える者はいなくなる。こちらとしても、張り合いがなくなるわ」

ギラの言葉に、ジャスティンは笑い返した。

「それはどうかな?もしかしたら、私以上の戦士が育っているかもしれないぞ」


「ふぉ〜。それは、楽しみだな」

サラは、自分の小指を見た。

ギラは、眉を寄せた。


「…」

ジャスティンは姿勢を正し、2人に向き直すと、改めて口を開いた。

「お前達がここに来た…目的は、何だ?」

それは質問している感じではなく、確認をしょうとしている感じだった。

ジャスティン自身も気付かない程の動揺を、サラ達が見逃すはずがなかった。

「フッ…」

サラは笑うと、ジャスティンに向かっていた。

「お前と…同じ理由だ」

サラの答えに、ジャスティンの体に衝撃が走った。

思わず、また…攻撃体勢に入ってしまいそうになる自分を、拳を握り締めて何とか踏ん張った。


そんなジャスティンの様子に気付いたが、サラは無視して言葉を続けた。


「だからと言って、どうこうしょうという訳ではない」