天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

そう思い…被った仮面を、

カレンはすぐに外すことになる。

まずは、目的の九鬼と同じクラスになれたこと。


それよりも、カレンの考えを変えたのは、

席から自分を見る九鬼の目である。

カレンは一発で、九鬼と気づいた。

その物腰…静かな雰囲気。

ある程度、戦いを教えている学校だから、一般の高校生よりは、皆…落ち着いていた。

しかし、そんな訓練され、統率された落ち着きではない。

これは、ある意味…野生動物が相手を見定める為に向ける視線に、酷似していた。

仮面を被っても、見破られる。

咄嗟に判断したカレンは作り笑いをやめた。

一応、柔らかな微笑みだけをたたえながら、

教師が示した空いてる席へと移動した。


その時、

九鬼の横を通ることになったが、カレンは何の気配も向けずに、前だけを意識した。

もしかしたら、心さえ読まれるのではないか…と、そんな気がしたのだ。


九鬼から離れた後ろの席であったことに、少し安堵した。


(九鬼真弓か…)

レベルはまったく違うが、どこかジャスティンに似ていた。

それは、鍛え方しだいでは、更なるレベルになる素質があることを示していた。


(まともに、やり合えば…今は私の勝ちだ。しかし…)

数ヶ月後にはわからない。

そんな恐ろしさを、カレンは見抜いていた。