いつのまにか黒いボンテージ姿に、モード・チェンジしていたアルテミアは、蹴り足を床につけると、

体を捻り、逆足で二撃目を食らわした。


「チッ」

ジャスティンは蹴りの流れる方向に、自らジャンプすると、威力を逃がした。

その行動の為、ジャスティンはジェーンから離れてしまった。

アルテミアはその隙にジェーンに近づくと、膝をつけ、

呆けているジェーンの両方の耳に手を当てた。


「さっきから考えていた。こいつの脳は、真っ白にして、新しくすべて書きかえた訳じゃない。ただ…明菜の記憶の上に、新しく書き込んだだけだ!」

アルテミアは、ジェーンの目を見つめ、

「だったら、できるはずだ!」

アルテミアの手を輝きだした。

「脳の伝達や信号は、微弱な電波で行われている!」

「アルテミア!」

ジャスティンは、アルテミアのやろうとしていることがわかった。

「あたしは、天空の女神!雷鳴の女神でもある!電流なら、操れる!」

「できるのか?」

「多分…だけど、あまりに微弱な電流だから…調整が難しい。こんな細かいこと…普段やったことがない」

いつものアルテミアを知る者なら、彼女から繊細さを感じることはないだろう。



「あああ…」

ジェーンの頭が小刻みに震え、白目を向く。

「明菜!」

アルテミアは叫んだ。

「目を覚ませ!自分を取り戻せ!」

アルテミアは、明菜の眠っている意識を揺り起こそうとした。

ジェーンの人格によって、奥に隠され、抑えられた明菜の人格が、再び戻ってくるように。