「超能力は、魔法のように…他と契約することもなく、自由に使える素晴らしい力だ」

ジャスティンは、ゆっくりと歩きだす。

「しかし…人の精神力を使う限りは、無尽蔵ではない」



ジェーンの手が震えた。

ジャスティンは悲しく微笑み、

「終わりだよ…ジェーン。しばらくは超能力は使えない」


「ジャ、ジャスティン…」

ジェーンは、近づいてくるジャスティンの様子に明らかに、今までと違う雰囲気を感じ取っていた。

「ジェーン…」

ジャスティンは優しく…できるだけ優しい表情を浮かべ、手を突きだした。

「さようなら」

ジャスティンは表情とは逆に、肉体は鋭さを増す。

揃えた指先が、まるで刃物のように輝く。

「ジャスティン…?」

ジェーンは悟った。これから、起こることを。

だけど、それでも信じられなかった。


ジャスティンが、自分にそうようなことをするはずがないと。




ジャスティンの手刀が、ジェーンに突きささる刹那、

ジャスティンの手首を、アルテミアが掴んだ。


「えらそうに言っておいて…結局、やることは一緒かよ」

アルテミアの呆れたような言い方に、ジャスティンはフッと笑った。

「同じではないよ。いろいろ考えた結論だ」

「どこがだ!」

アルテミアは、ジャスティンの手を振りほどいた。

「アルテミア…」

ジャスティンは少し、ジェーンから離れると、アルテミアの方を向き、

「お前が手をかけるのと、俺が手をかけるのでは、意味が違う。俺は、赤星くんに恨まれても、この子達に恨まれても、大丈夫だ」

ジャスティンは、腰が抜けたのかその場で崩れ落ち…自失呆然になっているジェーンを見下ろした。

「だから…俺が、終わらせる」

ジャスティンは、再び手刀を作り出した。


「馬鹿か!」

アルテミアは、ジャスティンの肩を後ろから掴んだ。

その瞬間、アルテミアの手を振りほどいたジャスティンは、回し蹴りを放つ。

アルテミアも同時に放っており、

蹴りと蹴りとがクロスする。

「何!?」

バランスを崩したのは、ジャスティンの方だった。