「一つ!確認したい」
切な気に月を見つめる男に、九鬼は強い口調できいた。
男は目を細めた後、ゆっくりと九鬼に顔を向け、再び頭を下げた。
「何なりと…」
礼をする男を、九鬼は訝しげに見つめながら、
「あたしも馬鹿じゃない。この世界に来て、自分なりに調べてみた」
ここで言葉を切ると、九鬼は月を見上げた。
「この世界の月は、単なる衛星ではない!月自体が、女神の変幻した姿!そして、その女神とは、アルテミアと同じ魔王の眷族!」
「実際的には、今の魔王の叔母にあたりまする」
男は顔を上げ、少し細めた目で九鬼を見つめていた。
その冷たさに、九鬼の背中に悪寒が走ったが、それくらいで怯むことはなかった。
九鬼は一歩前に出ると、
「だとすれば…この世界の月の女神も信用できないのではないのか?」
「フッ」
男は鼻で笑った。そして、月に向かって、両手を開き、
「あのお方は、自らの体を月に変え…ただ闇を照らす存在となりました。それは、闇に人々が怯えないように!」
男の目から、涙が流れた。
「その為に、姿も生きる意味も捨てられたあのお方を、疑うというならば!分身である我を殺しても構いませぬ!」
少し芝居がかった男の態度に、九鬼はすべての信じた訳ではないが、少なくとも月となり数えきれない年月を闇を照らしていたことは、事実であると確認していた。
(しかし…もう神話レベルだが)
九鬼は話を変えた。
「わかった。それは、理解した。だから、赤星浩一と中山美奈子の居場所はどこなんだ?」
「それは…」
男の顔から、涙が消え、
「ここから、赤道を越えた島なれば、今のあなたではいけませぬ」
「なんとかする。場所だけ教えてくれ」
そういうと、九鬼の手の中に紙切れが現れた。
九鬼は手のひらを開けると、地図を確認した。
「ありがとう」
九鬼は、男に背を向けると、歩き出そうとした。
「お待ちください」
男は九鬼を呼び止めた。
「?」
九鬼が振り返ると、男の方から黒い物体が飛んできた。
切な気に月を見つめる男に、九鬼は強い口調できいた。
男は目を細めた後、ゆっくりと九鬼に顔を向け、再び頭を下げた。
「何なりと…」
礼をする男を、九鬼は訝しげに見つめながら、
「あたしも馬鹿じゃない。この世界に来て、自分なりに調べてみた」
ここで言葉を切ると、九鬼は月を見上げた。
「この世界の月は、単なる衛星ではない!月自体が、女神の変幻した姿!そして、その女神とは、アルテミアと同じ魔王の眷族!」
「実際的には、今の魔王の叔母にあたりまする」
男は顔を上げ、少し細めた目で九鬼を見つめていた。
その冷たさに、九鬼の背中に悪寒が走ったが、それくらいで怯むことはなかった。
九鬼は一歩前に出ると、
「だとすれば…この世界の月の女神も信用できないのではないのか?」
「フッ」
男は鼻で笑った。そして、月に向かって、両手を開き、
「あのお方は、自らの体を月に変え…ただ闇を照らす存在となりました。それは、闇に人々が怯えないように!」
男の目から、涙が流れた。
「その為に、姿も生きる意味も捨てられたあのお方を、疑うというならば!分身である我を殺しても構いませぬ!」
少し芝居がかった男の態度に、九鬼はすべての信じた訳ではないが、少なくとも月となり数えきれない年月を闇を照らしていたことは、事実であると確認していた。
(しかし…もう神話レベルだが)
九鬼は話を変えた。
「わかった。それは、理解した。だから、赤星浩一と中山美奈子の居場所はどこなんだ?」
「それは…」
男の顔から、涙が消え、
「ここから、赤道を越えた島なれば、今のあなたではいけませぬ」
「なんとかする。場所だけ教えてくれ」
そういうと、九鬼の手の中に紙切れが現れた。
九鬼は手のひらを開けると、地図を確認した。
「ありがとう」
九鬼は、男に背を向けると、歩き出そうとした。
「お待ちください」
男は九鬼を呼び止めた。
「?」
九鬼が振り返ると、男の方から黒い物体が飛んできた。


