燃え尽きた大地の上で、僕は立ち続けていた。

足の裏を燃やす残り火も、僕には何も感じさせない。

この者達に、罪があったというのか。

生きる為に、この地まで逃げて来て、

ただ生きてきた人々に罪があったのか。



いや、ない。

だけど…僕はわかっていた。

魔物と人間は違う。

これは、虐殺であったが、魔物に人間と同じ感覚があるはずがない。

やつらが、人間を殺すことは、当然なのだ。

それを理解しながら、泣く僕は…



人間なのだろう。

例え、バンパイアとして目覚め、人とは違う体になっても、心は人間だった。


なぜなら、僕は人間から産まれ、人間として育ってきたからだ。


ロストアイランドの全滅は、僕に人であるべきだということを、認識させた。


「アルテミア…」

僕の呟くような…そして、強い決意を感じさせる声に、アルテミアはこたえた。

「なんだ?」


僕は、一面焼け野原になった世界を見つめながら、拳を握り締めた。

「僕は…ライと戦うよ!直接!」

僕は、体を反転させた。

赤き瞳が、遥か海と結界の向こうにある魔王の居城を睨んだ。


勇者といわれているからとか、義務ではない。

人の側に、ライと戦えるのは僕だけだからではない。

目の前で、人が死んでいく。

僕は、それに堪えれないのだ。

「勝てるかは、わからない…。だけど!」

僕は、言葉を噛みしめ、

「戦う!」



僕の言葉に、アルテミアはしばらく何も言わなかった。

数秒後、


「あたしは、お前とともにいるよ」

それだけを口にした。

僕は頷き、

「いくよ!」

炎の翼を広げた。

「魔王のもとに!」

空中へと飛び上がった僕、一気に海上へと移動し、

魔界へ進路を向けた。