たった独りで戦ってきたアルテミアを、守れるようになりたい。

僕はそう願ってきた。

だけど、アルテミアと同じくらい強くなったのに、

まだ僕は、アルテミアに守られている。

こんなに切なく、優しい表情をするようになったアルテミアに、僕はまだ助けられている。

(アルテミア…)

頬に触れているアルテミアの手に、僕の手を重ねた。

そして、アルテミアの手を握った。

「アルテミア…僕は」

口を開いた僕の後ろに、誰かが立った。

「いい雰囲気のところ、すまない」


アルテミアと僕はその声にさっと離れると、信じらないスピードで立ち上がり、互いに背を向けた。

その二人の様子を見ても、別に気にせずに、美奈子は腕を組み、地平線の向こうに視線を移した。

「ここはどこだ?明菜のいる場所からどれくらい離れてるの?」

久々に会ったというのに、挨拶もなく、美奈子はきいてきた。

僕は答えらない。

慌てふためいていると、アルテミアの体が揺らめき、消えた。

「赤星、変われ」

ピアスから、アルテミアの声がした。

僕が頷くと、光を放ちながらアルテミアに変わった。

美奈子は、地平線を見ていたから、光の直撃で目をやられることはなかった。



「結構離れているわ。あなたの能力では、いけないと思うわ」

「…」

美奈子は、地平線を睨んだ。

「テラ…と言われていたけど、あなたの持っていた銃からは、物凄い力を感じたけど、あなたの体からは、力を感じない」


「フッ」

美奈子は笑うと、自分の手の平を見つめ、

「テラの力を、武器に集約したからな。だけど、それで人に戻れたのかは、わからない。それに」

また地平線に目を移し、

「力を捨てなければ、明菜を助けられたのかもしれないし…今、飛んで助けにいけるのかもしれない」

美奈子はぎゅと、拳を握り締めた。悔しそうに、顔をしかめ、

「あたしが、誘わなければ…明菜は、この世界に来ることはなかったのに」