「あたし達が復活したからには、あんたの好きにはさせないわ」

「今ここで、殺してあげてもよくてよ」

炎と氷が交わることなく、おかしな空気を周囲に漂わせていた。


「オリジナルの…お姉様ではないわね」

アルテミアは、違和感を感じていた。

マリーはアルテミアの質問に笑い、

「肉体は新しく創って貰ったが、魂は前と同じよ」

「そして、魔力も上がっているわ。昔のあたし達と同じだと思ったら、すぐに死ぬわよ」





「そういうことか…」

アルテミアは、復活させたライの狙いがわかった。乗ってやるのは癪だが、

アルテミアも知りたかった。

アルテミアは、冷ややかな笑みを浮かべながら、二人の女神に言い放った。


「死んでも簡単に、復活できるんでしたら…」

アルテミアは見下すように、

「安いものですよね。お姉様方の命なんて」

最後はプッと吹き出した。


「貴様!」

怒りで頭に血が昇った二人の前で、笑みを絶やさずにアルテミアは言った。

「モード・チェンジ」



僕に変わったのを見て、さらに女神達はキレた。

「こんな人間のガキに!」

「何ができる!」

ネーナとマリーは、女神の一撃の体勢に入る。

しかし、そんな二人を冷たく見る僕は、心の中で念じた。

(技の発動を否定する)



すると、ネーナとマリーは技を出す前に、体の自由を奪われた。

「な!」

動けなくなったネーナとマリーの目に、赤く光る赤星の瞳が映った。

「なんだ…この魔力は」

唖然とする女神達に、僕は何も言わず、2つの拳をそれぞれの鳩尾に叩き込んだ。

「気を巡らせろ!」

ピアスからのアルテミアの指示。

僕が拳をねじ込むと、ネーナとマリーの体が小刻みに震えだし、

数秒で塵を化した。

「あらゆる物体が、原子が結合してできているのならば…その結合を解けばいい」

塵となった二人の女神。

僕が拳を抜き、手のひらを上に広げると、塵が舞い、まるで小型の竜巻となっていた。