アルテミアのかかと落としが炸裂し、地面を抉り、衝撃波が広がった。

地面は、まるでクレーターのようにへこんだ。

とっさに、後方にジャンプした僕は、クレーターの真ん中に立つアルテミアに、絶句した。

「あり得ない!」

アルテミアの体は、ライの居城にある。そして、精神と心は、僕とともにあるはずだ。

驚き、目の前に立つアルテミアをスキャンしょうとした時には、もう消えていた。

「遅い!」

耳元に突然、アルテミアの声がしたと思ったら、背中に衝撃が走り、僕は弓なりになりながら、今できたクレーターに激突した。

フラッシュモードから、地面に降り立ったアルテミアは、またストロングモードへと変わる。


「どういうことだ?」

ピアスにいるはずのアルテミアの声が、しない。

「クソ!」

僕はチェンジ・ザ・ハートを、ライトニングソードに変えると、突進してくるアルテミアに向かって、構えた。

「こいつが、アルテミアの訳がない」


両拳を握り締め、真っすぐに向かってくるアルテミアに、僕は電気の刃を飛ばした。

「ライトニングウェーブ!」



しかし、アルテミアは難なく電気の刃を避けると、ライトニングソードの上に爪先で着地した。

そして、剣の上で回転すると、回し蹴りを僕の顔面に喰らわした。 

それから、ライトニングソードの切っ先から背面飛びのようにジャンプすると、

よろめいた僕の手から、ライトニングソードを蹴り上げた。

数メートル離れた地面に、ライトニングソードは突き刺さった。

アルテミアは、華麗に着地すると、すぐに地面を蹴り、体勢を立て直していない僕の鳩尾に、肘を食い込ませた。

息ができなくなり、崩れ落ちる僕を、見下ろしながら、アルテミアは言った。

「昔…あたしが、ジュリアンやあたし自身と戦った時、お前はあたしに、何と言った?」

「う……」

僕は痛みで、声が出ない。

「力に溺れ…力任せでは駄目だと」

アルテミアは、また右足を振り上げ、

「今のお前は、強大な魔力を糧にして、ただ力を振るう…あの頃のあたしと同じだ!」

再びかかと落としを、繰り出した。