「お互い…会いたかったようだな」

カレンは、ペンダントの赤い碑石を触った。

そして、中西を軽く睨みながら、

「お前の力…貰うぞ」



「やれるか!子娘があ!」 

中西の体が前のめりになり、突き出した肩胛骨から、二本の角が突き出し、髪の毛が、逆立つと硬化し、四本足で立つ…トリケラトプスを思わす姿に変わった。

「最近…我が眷属を、狩る人間がいるときいて、この地に来たが…」

一瞬にして、音速をこえた中西の突進は、空気の壁を突き破り、破裂音とともに、ソニックブームを伴った。

そして、カレンに二本の角が、突き刺さったはずだった。

「な?」

突き刺さした感触ではなく、何か硬いものにあたり、それを吹き飛ばしたように、中西は感じた。その違和感に、中西は顔をしかめた。

カレンは、数メートル地面をえぐりながら、後方に押された。決して、吹き飛んだではなく、ただ押されただけだ。


「あり得ん…」

砂埃が、カレンの姿を中西から隠した。



「…この程度か…」

カレンはため息混じりに言うと、砂埃を切り裂いて、逆に中西に突進した。

「なな!」

カレンの三倍はある体躯に、変化している中西が軽く吹っ飛ぶ。

「この力は…」

唖然とする中西に、カレンは言った。

「お前は、狩る方じゃない!狩られる方だ」

カレンの妖しい微笑みとともに、クロスのペンダントの中から、剣が飛び出した。

カレンを、それを掴むと、

「貰うぞ」

カレンは横凪ぎに剣を払い、二本の角を切り取った。

と同時に角は消えた。


そして…。





「ぐげえ…」

中西の口から、血が溢れでた。

先程切られた角が、中西の横腹に突き刺さっていたのだ。

「食え!ピュアハートよ」

カレンは、中西の額に剣を突き刺した。



「何だ……この剣は…」

中西は突き刺さされた額の奥から、感じる感触に…ぞっとした。