フレアだった肉体と、リョウの死体を見下ろしながら、死体の山に立つ女。

無表情で、フレアを見つめていた女の周りに、数十の魔物が降りてきた。

「まだいたぜ…人間が!」

バッファローに翼を生やした姿の魔物が、襲い掛かろうしたが………顔を上げた女の顔を見て、魔物達は凍り付いた。

「リ、リンネ様…」


リンネは、周りを囲む魔物を睨んだ。

「あたしを…人と間違うか?」

リンネが言葉を言い終わる前に、魔物達は消滅した。灰も残さずに。


その状況を見た魔物達は、リンネの周囲から、離れた。

「フン」

リンネは鼻を鳴らすと、フレアの死体に目を細め、

「死んでもなお…あの男の為に生きるか…」

リンネはフッと笑うと、

「その男の心は、あんたに向くことはないのに…」

その笑みは、悲しい色に変わる。

リンネの顔から、一粒の火種が落ちた。

その瞬間、フレアの死体は燃えだした。


火種は、リンネの涙だったのだろうか。




リンネは、顔を上げ……頭上にある太陽を睨んだ。


「赤星浩一……」

太陽は、今も昔も変わらない。

「……過ぎ去った過去で会おう」

リンネの全身が、太陽のように燃えだした。