「あなた様は…戦っていません!あなた様は、魔王によって、時間の流れから外されたのです。我々は、あなた様を、もとの時間の流れに戻します!」


「そ、そんなこと言ってる場合か!みんな死んでしまう!結界を解いて、僕を戦わせろ!」

と言った瞬間、魔物の群れは僕を突き抜けて、地上に降り立った。 

「早く!」



地上ではケースから、ドラゴンキラーを取出したリョウが、構えたが……、

一瞬で、首が飛んだ。

フレアもまた、体を引き裂かれた。


「うわあああああっ!」

絶叫した僕に、カイオウが話し掛けた。

「もし…この時空に干渉できるようになって…どうします?人は滅びます。そして、この時空には、あなたの守るものも…愛するものもいないのですよ」


カイオウの言葉は、もう僕の耳に入っていなかった。

僕の目が、眼下に見下ろせるようになった島の全体像を、見せつけた。



「目に焼き付けるのです。この結果は、あなた様が、負け…封印されたからです。あなた様が、戦わなかった結果なのです」




「サーシャ…」

「ロバート…」

二人は、無駄な抵抗をすることなく…お互いを刺し、自害した。




「うわああ……母ちゃん!」

俊介の前で、魔物に食い千切られていく家族。

そして、彼もまた…頭を握り潰された。

ホワイトシティのシェルターに逃げ込んだ人々もまた、地上にいる人々と数分違うだけで、あっという間に…殺された。


結界が消えてから、15分。


すべての人類は、死滅した。

ブルーワールドから、人類はいなくなったのだ。





「あなたは…この結果を焼き付けて…戦うのです!」

「僕はあああああ!」


絶望と悔しさを癒すこともなく、僕はこの時空から消えた。



僕が消えると、カイオウは1人…空に浮かんでいた。


「我々の存在意義も…意味がなくなった」

カイオウは目をつぶり、頭を垂れた。