「フレア…何よ。この態度は?あの子なんでしょ?」

少し怒りながらも、声をひそめて話すティフィンに、フレアは言った。

「あの子、自身ではないわ」

「フレア…」

それ以上話さないフレアの肩から、ティフィンは離れると、まだ歩きださないリョウの頭の上に、止まった。


「あんた…早く行かないと、こいつらが起きるわよ。それに、この辺りは最近、こんなやつらが多いだから」

ティフィンは、頭の上でため息をつき、

「武器を奪い合ったところで、生き残れるわけがないのにさあ〜」



「本当に………妖精がいるの?この島に…」

リョウの呟いた言葉に、ティフィンは頭の上から飛び降り、逆さまの形で、リョウの顔を覗き込んだ。

「妖精1人見たくらいで、驚いてて、どうすんだよ…」

またため息をつき、

「あたしだけが、覚えている。あいつは、こんなんじゃなかったわ」

リョウの目の前で、くるっと反転すると、フレアを追い掛けて、飛んでいった。



「……」

リョウは、フレアの後ろ姿と、ティフィンの遠退いていく背中を、リョウは見つめながら、呟いた。

「なぜだろ…」

リョウも歩きだした。

「この状況を…見たような気がする…」

ドラゴンキラーのケースを持ちながら、リョウはゆっくりと、足を速めた。


「いこう!」

フレアを追い越し、今度は下りとなった道を、スピードをつけて、丘を一気に下っていく。


左右の視界から、木々が消え…すぐに、何もない草原が広がった。


「え?」

いや、何もなかった…ではなかった。

反対側と違い…草原には、数多くの死体が転がっていた。

リョウは丘の途中で、足を止めた。


「殆んどが、ここ最近よ」

フレアが飛んできて、リョウの頭に止まった。

「人間は馬鹿ね…」


「何があったの?」

今まで嗅いだことのない血と死臭に、リョウはまた動けなくなる。

「噂が…ホワイトシティに広がっているの」

フレアがゆっくりと下ってきて、リョウの隣に立った。

「生き残れる方法があると…」