町に着いたリョウは、真っ先に岬への道を探した。

この島には、大小合わせて、12の町や村がある。

だけど、町…大都市と思わせるのは、ここしかない。

ホワイトナイツ。


かつて、魔王と戦い…唯一その王座まで攻め込んだ三人の勇者達は、そう言われていた。

昔、存在した防衛軍の最高責任者としても、活躍したクラーク・マインド・パーカーと、ジャステイン・ゲイ。

そして、なぜか…この人は、名前を伝えられてはいない…白い鎧に、ブロンドの戦士。

ホワイトナイツは、その戦士の風貌から、名付けられたとだけ…伝承されていた。



リョウ達が入ってきた場所は、一番岬より遠い。

目の前に広がる建造物を突っ切り、反対側にいったらわかるはずだ。

直径は、約三キロ。

一番大きな都市なのに、メインストリートは、縦と横しかない。

その癖、道の真ん中は汽車が通っており…もし車が走っていたなら、左右に一台つづくらいしか走れない。

資源のない島は、車なんてものは御法度だ。

ガソリン等の燃料を無駄に、使うだけだ。馬車が、メインとなっていた。

リョウとフレアは、さらに狭い歩道を歩きながら、ただ縦の通りを真っ直ぐに、歩いた。

行き交う人々の様子を、気にしないように気を遣いながら、早足で歩いた。

みんな…暗い。

普段なら、歩道の脇にある店達に、目がいくところだが…フレアも見ていない。


買い物に浮かれているわけには、いかない。

明日、結界が消えるかもしれないのだ。


さすがに、島の中心都市である。人の多さは信じられない。

汽車も馬車も、満員である。

学校は、休校。島の管理局に働く人々は、仕事が終わったが……普通の人々は働いていた。

例え…明日滅んだとしても、今日も店を開ける。

リョウ達が、中央の交差点に来るまで、閉まっていた店はなかった。