ロバートは頷き、

「この世界は、魔物という天敵がいる。だから、人は奢らず、自然を壊さない」

ロバートの言葉に、僕は絶句した。

そして、わなわなと震え出す僕を、ロバートは静かに見つめる。

僕は、両拳を握り締めると、

「だったら…だったら…」

僕はロバートを睨んだ。

「魔物は、必要というんですか!人が、殺されてるのに!」

僕の脳裏に、魔物に貫かれて殺された奈津子の姿が、甦る。

「そんなのいいわけが、ない!」

僕の絶叫に、

「だから、俺達がいる」

ロバートの強い言葉が、答えた。

「俺達が、人々を守る。確かに、守れなかった命もある。だけど、俺達は…できるかぎりの努力をして、できるかぎり以上の人々を、救わなければならない!」

「ぼ、僕は!」

僕は、ロバートをさらに睨んだ。

「戦う義務なんてない!」

僕の心の叫びが、静かな海辺に響き渡った。

その瞬間。




僕は…暗い部屋のベットの上に戻っていた。

実世界…自分の世界に。


気付くと、自分でも泣いてるのがわかった。

右腕で涙を隠しながら、僕はしばらく…泣き続けた。

こちらは、もう夜は明けていた。